旧制高等学校のコーナー

旧制浪速高等学校 制服旧制東京高等学校 制服旧制第一高等学校ほか 制服
左から、新潟高等学校・東京高等学校・第四高等学校・第五高等学校・第一高等学校・学習院・武蔵高等学校・第三高等学校・浪速高等学校 制服

第二次世界大戦終了まで、日本にあった旧制高等学校は私立・公立・官立(国立)を問わずすべて男子校でした。このコーナーでは各校の制服を紹介します。 旧制高校に通えたのは学力・経済力がそろった者だけで、その人数は同年代の男子の中でほんの少しでした。 彼らは当時の日本社会のエリート候補だったのです。 旧制高校には普通は寮(浪速・甲南除く)が設備されており、これらの寮では毎年のように学生が「寮歌」を作詞・作曲し、歌い継いでいました。 それから、文科の学生は「L」・理科の学生は「S」のバッジを制服の襟に着けて学科を区別し、外出時には制帽を被り、マントを羽織って下駄を履くのが流行り、 使い古してぼろぼろになった制服をアピール=「蛮カラ」(人間は中身が大事という考えの裏返し)しておりました。 一方で7年制高等学校を中心に、当時新しくできた高校の中には、従来の蛮カラとは違う校風を作るために下駄・マント着用を禁じ、 オーバーコートの使用を定めた所もありました。

旧制高等学校の当時の制服・制帽一覧

高校名 制服 制帽
第一高等学校(東京府東京市、現・目黒区)
現・東京大学教養学部
紺色の詰襟
黒ボタン
黒、白線2本
第二高等学校(宮城県仙台市)
後・東北大学教養部(現在廃止)
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒、白線2本
第三高等学校(京都府京都市)
現・京都大学総合人間学部(旧教養部)
黒色の詰襟
金ボタン
黒色、白線3本
第四高等学校(石川県金沢市)
現:金沢大学
紺色の詰襟
金ボタン
紺色、白線4本、のち2本
第五高等学校(熊本県熊本市)
現・熊本大学法学部・文学部・理学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線3本
第六高等学校(岡山県岡山市)
現・岡山大学法学部・文学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
第七高等学校造士館(鹿児島県鹿児島市)
現・鹿児島大学法文学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
第八高等学校(愛知県名古屋市)
現・名古屋大学情報文化学部(旧教養部)
紺色の詰襟
黒ボタン
黒色、白線2本

第八高等学校より後にできた高校は、番号名を廃止し、地名を校名につけることになった。

高校名 制服 制帽
新潟高等学校(新潟県新潟市)
現・新潟大学人文学部・理学部
黒または紺の詰襟
黒ボタン
黒または紺、白線2本、帽章は銀
松本高等学校(長野県松本市)
現・信州大学人文学部・理学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
山口高等学校(山口県山口市)
現:山口大学人文学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
松山高等学校(愛媛県松山市)
現:愛媛大学法文学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
水戸高等学校(茨城県水戸市)
現:茨城大学人文学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
山形高等学校(山形県南村山郡東沢村、現・山形市)
現:山形大学人文学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
佐賀高等学校(佐賀県佐賀郡本庄村、現・佐賀市)
現:佐賀大学農学部・経済学部・理工学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線3本
弘前高等学校(青森県弘前市)
現:弘前大学人文学部・理工学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
松江高等学校(島根県松江市)
現・島根大学法文学部・総合理工学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線3本
大阪高等学校(大阪府大阪市)
後・大阪大学教養部(現在廃止)
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
浦和高等学校(埼玉県浦和市、現・さいたま市)
現・埼玉大学教養学部・経済学部・理学部・工学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
福岡高等学校(福岡県福岡市)
後・九州大学教養部(現在廃止)
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
静岡高等学校(静岡県静岡市)
現・静岡大学人文学部・理学部
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
高知高等学校(高知県高知市)
現・高知大学人文学部・理学部
黒または紺の詰襟
黒ボタン
黒または紺、白線2本
姫路高等学校(兵庫県姫路市)
現・神戸大学文学部・理学部・国際文化学部
黒または紺の詰襟
黒ボタン
黒色、白線2本
広島高等学校(広島県広島市)
現・広島大学総合科学部(旧教養部)
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
旅順高等学校(関東州旅順市、現・遼寧省大連市(中国))
関東局の所管する学校・終戦後廃校(現在跡地は中国海軍が使用)
黒または紺の詰襟
黒ボタン
黒または紺、白線2本

帝国大学予科編

校名 制服 制帽
北海道帝国大学予科(北海道札幌市)
現・北海道大学教養部(現在廃止)
黒色の詰襟
金ボタン
黒色、白線3本
京城帝国大学予科(朝鮮・京畿道京城府清涼里、現・ソウル市(韓国の首都)、大学本部とは別校地)
朝鮮総督府の所管する学校・終戦後廃止(跡地は現在市街地)
紺色の詰襟
金ボタン
黒色、白線2本
台北帝国大学予科(台湾・台北州台北市、現・台北市(中華民国の首都))
台湾総督府の所管する学校・終戦後廃止(跡地は台湾国立台湾大学が継承)
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒または紺、白線3本

7年制高等学校編

旧制中学校(5年制)の第4学年から旧制高校に飛び級入学が認められるようになると、4年間の中学課程(尋常科)と3年間の高校課程(高等科)を合わせた7年制高等学校が設立された。
校名 制服 制帽
東京高等学校(東京府東京市、現・中野区)
現・東京大学教養学部(高等科系統)
同大学教育学部附属中等教育学校(尋常科系統)
黒色の詰襟
ホック留め・黒色の縁取り
黒色、白線2本
台北高等学校(台湾・台北州台北市、現・台北市)
台湾総督府の所管する学校・終戦後廃止(跡地は台湾国立台湾師範大学が継承)
黒または紺の詰襟
金ボタン
黒または紺、白線2本
富山高等学校(富山県富山市)
最初は富山県立の高校、のち官立に移管。同時に尋常科廃止
現・富山大学人文学部・経済学部・理学部
紺色の詰襟
金ボタン
紺色、白線2本
浪速高等学校(大阪府豊中市)
大阪府立の高校・後・大阪大学教養部(現在廃止)
紺色の詰襟
ホック留め・黒色の縁取り
黒、白線・高等科は2本,尋常科は1本、帽章は銀
府立高等学校(東京府東京市、現・目黒区)
東京府立の高校・のち都制施行に合わせ「都立高等学校」と改名
現・首都大学東京(高等科系統)
都立桜修館中等教育学校(尋常科系統)
黒または紺の詰襟
黒ボタン
黒または紺、白線2本(尋常科除く)
学習院(東京府東京市、現・豊島区)
宮内省の所管する学校で中等科5年・高等科3年の8年制。戦後私立学校へ
現・学習院大学(高等科系統)
同高等科・中等科(中等科系統)
制服の規定は現在とほぼ同じ 制帽の規定は現在とほぼ同じ
武蔵高等学校(東京府北豊島郡中新井村、現・練馬区)
現・武蔵高等学校・中学校(武蔵大学は新設)
紺色の詰襟
金ボタン・袖ボタンなし・漢字の「文」「理」襟章をつける
尋常科1・2年は、半ズボン着用も可能
黒色
甲南高等学校(兵庫県武庫郡本山村、現・神戸市)
現・甲南大学(高等科系統)
同高等学校・中学校(尋常科系統)
黒または紺の詰襟
ボタン・高等科は黒、尋常科は金
黒色、高等科のみ白線2本
成蹊高等学校(東京府北多摩郡武蔵野町、現・武蔵野市)
現・成蹊大学(高等科系統)
同高等学校・中学校(尋常科系統)
現在定められているのとほぼ同じ 黒、白線なし・のち高等科のみ2本
成城高等学校(東京府北多摩郡砧村、現・世田谷区)
現・成城大学(高等科系統)
成城学園高等学校・中学校(尋常科系統)
紺色のスーツにワイシャツ・ネクタイ 登山帽

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